日本ではNISAが始まり、
投資の話題を耳にする機会も増えました。
それでも投資をする人はまだ多いとは言えません。
今回は 行動経済学の視点から、その理由を考えてみました。
日本人のNISA口座の開設率は、
2025年9月時点で約25%というデータがあります。
18〜64歳に限ると約38%とやや高くはなりますが、まだ投資が広く浸透しているとは言い難い状況です。
これに対して
「日本人は金融リテラシーが低い」
と言われることもあります。
しかし私は、
それだけが理由ではないと思っています。
私は「行動経済学」の本を読むのが好きです。
色々な本を読んでいく中で、
日本人が投資を始めない理由には
行動経済学が深く関わっているのではないか
と思うようになりました。
今回は、
私なりの解釈の中で
このことを考えてみたいと思います。
■デフォルト効果と現状維持バイアス
行動経済学では、人は
「最初から用意されている選択」を
そのまま選びやすいと言われています。
これをデフォルト効果と呼びます。
人は基本的に、面倒なことを避ける傾向があると考えられています。
また、人は変化によるリスクを恐れ、
今の状態を維持しようとします。
これを現状維持バイアスと呼びます。
例えば銀行口座も、
この考え方で説明できると思います。
私たちは働き始めると、
当然のように銀行口座を持ちます。
それは給料が振り込まれるからです。
つまり銀行口座は、
最初から用意されている選択です。
そして、その口座の中でお金をやり繰りすることが
当たり前になっていきます。
いわば銀行口座とは、
強制的に開設することになる
デフォルトの仕組みとも言えます。
しかし証券口座は、
自分の意思で新しく開設しなければなりません。
人は面倒なことを避ける傾向があります。
そのため、証券口座を開くという手間を
後回しにしてしまいます。
さらに、新しいものを取り入れることへの不安、
つまり現状維持バイアスも働きます。
その結果、証券口座を開設しない人が多くなるのは行動経済学的にも納得できることだと、私は思います。
極論を言えば、
銀行口座のように最初から証券口座が存在していたら・・
投資をする人は、
今より増えていたのかもしれません。
これと似た話は、
アメリカの年金制度でも語られています。
興味のある方は
「年金 ナッジ理論」と検索してみてください。
■デフレ経済と損失回避
日本は長くデフレの時代でした。
物価が上がらない社会では、
銀行にお金を置いておくだけでも
生活は成立していました。
さらにバブル時代には、
定期預金の利回りが
5〜6%という時代もありました。
毎年100万円を預けておけば、
それだけで6万円増える計算になります。
そのため
「貯金が一番安全」という考え方が、
バブルを経験した親世代の常識になっている部分もあると思います。
その中で育った子どもたちが
「株は危ないもの」と理解するのも、
ある意味当然のことなのかもしれません。
また、行動経済学では、
人は利益よりも損失を強く感じるとされています。
これを損失回避と呼びます。
有名な研究では、
同じ金額でも
損失の痛みは利益の喜びの約2倍強く感じる
と言われています。
つまり
「お金が増えるかもしれない」
よりも
「お金が減るかもしれない」
という感情の方が強く働き、
株式市場に入ることを
避けてしまうのかもしれません。
■まとめ
今回は、行動経済学の視点から
なぜ日本人は投資を始めないのかを
私なりの考えで整理してみました。
投資には当然リスクがあります。
怖いと感じるのは、自然なことだと思います。
私自身も、怖いと感じる場面は何度もあります。
ただ、行動経済学の本を読み
「人間の仕組みとしてこうなっているのか」と
知ることができただけでも、少し安心しました。
行動経済学は、なぜ人は非合理な選択を
してしまうのかを考える学問です。
人は生まれ育った環境や性質によって
それぞれ違う個性を持っています。
それでも、人の行動には
ある程度の法則があるのではないか。
その根拠を探していくのが
行動経済学なのだと思います。
私は株式市場でも、この人間の心理が大きく関わっていると感じています。
人が投資をしない理由は、必ずしも
知識の問題だけではないのかもしれません。
私が実際に読んだ、行動経済学の基礎が学べる一冊です。
“なぜ人は合理的に行動できないのか”が分かると、
自分の選択の見え方が少し変わるかもしれません。
興味のある方は、手に取ってみてください。
コメント