米国高配当ETFを比較|高配当のくくりでも中身は全然違う

米国株式の中には、

多くの高配当ETFが存在します。

しかし、

高配当ETFと、ひとことで言っても

その性格は、

それぞれ、まるで違います。

利回りも。

チャートの動きも。

暴落したときの沈み方も。


なぜ、そんなに違うのか。

それは、

それぞれのETFが、

まったく別の「ものさし」で、

銘柄を選んでいるからです。


今日は、

米国の代表的な5つのETFが、

どんな考えで作られているのかを、

私なりに整理してみたいと思います。

どれが優れている、という話ではありません。

それぞれの性格を知って、

自分に合うものを考えるための、

材料になればと思っています。

※この記事の数字は、

2026年7月時点で調べたものです。

目次

■ SPYD|今の配当を大切にする 利回り重視の高配当ETF

銘柄選定基準

S&P500に入っている会社の中から、

配当利回りが高い順に、上位80社

それを、均等に持ちます。

「今、たくさん配ってくれるか」

それが銘柄の選定基準です。


実績

これまで、

利回りはおおよそ4%台で推移してきました。

高配当ETFの中でも、

はっきりと高い水準です。

「今の配当」という一点において、

とても強い商品だと思っています。


注意点

SPYDは、利回りの高い順に銘柄選定をします。

そのため、

その会社の財務が健全であるかは見ません。

配当を出すのに本当に余裕がある会社なのか。

その判断をしないという事です。

また、

利回りが高いのは、

株価が下がったからかもしれない。

株価が下がったということは、

業績が厳しくなってきた企業かもしれない。

そういう会社も、混ざるということです。


実際、

過去の最大下落率を見ると、

マイナス46%台まで沈んだ時期がありました。

不動産や公益といった、

金利上昇に弱い業種が多くなりやすいことも、

その理由の一つだと思います。

そして、直近10年の年率リターンは、

8.78%。

今回の5本の中では、

いちばん控えめな数字でした。

今の配当を厚く受け取るかわりに、

値動きの荒さを受け入れる。

そういう商品だと、私は思っています。

■ VYM|米国全体を、浅く広く拾うバランス型高配当ETF

銘柄選定基準

配当利回りが市場の平均より

高い会社を、幅広く集めます。

その数、およそ550社

会社の大きさに応じて、

比重を変えて持ちます。

「高配当の会社を、とにかく広く」

そういう考え方です。


実績

分散が効いているぶん、

値動きは比較的おだやかです。

S&P500の値動きに対して、

上げも下げも、少し小さく動く。

そんな性格が数字にも出ています。

VYMは、

15年連続で分配金を増やし続けてきました。

派手さはありませんが、

途切れずに増えている

安心感のある実績をもった商品です。


注意点

高配当ETFとは言われるものの

幅広く分散をさせているため

「高配当らしさ」は、薄くなります。

利回りも、控えめです。

そして、

直近10年の年率リターンは11.43%。

同じ期間のS&P500は13.19%でした。

市場全体に近い動きをしながら、

少しだけ届かない。

そんな位置にいます。


とはいえ、

2022年の下落局面では、

ほぼ横ばい(マイナス0.46%)で耐えました。

守りきる、というほどではないけれど、

大きくは崩れない。

そのバランス感が、

VYMらしさなのだと思っています。

■ SCHD|今よりも、未来の配当を狙う増配型高配当ETF

銘柄選定基準

今の利回りも、ある程度は確保しながら、

これから先、配当を増やしていける会社を探す。

そういう考え方です。

長年、配当を出し続けてきた実績。

借金に対して、現金を稼げているか。

自己資本を、うまく使えているか。

配当を増やす勢いは、あるか。

そうした会社の体力を見て、

100社まで絞り込みます。


実績

配当が増やせる企業を選ぶ。

その結果は数字に表れています。

直近5年の増配率(年率)は、12%。

連続増配は、12年続いています。

配当が毎年12%ずつ増えていくと、

6年ほどで、受け取る額は倍になります。

買った値段に対する利回りが、

年々育っていく。

これが、SCHDの魅力だと思っています。


注意点

未来の配当のために、

目先の利回りは他に負ける部分があります。

なお、

過去の最大下落率はマイナス33%台。

今回の5本の中では、

比較的、浅く済んでいます。

財務の質でふるいにかけていることで、

結果として優良な高配当企業が選ばれ、

守りにも効いている部分があると思います。

■ VIG|圧倒的な実績を持った増配型配当ETF

銘柄選定基準

10年以上、連続で増配してきた会社

それが、唯一の入口です。

そして、ここが大事なところなのですが、

その条件を満たした会社の中から、

利回りが高い上位25%を

わざと外しています。

無理をしている可能性がある会社は、選ばない

そう決めているETFです。


実績

そういった選定基準があるからこそ、

利回りは低くなります。

高配当ETFのつもりで買うと、

配当の少なさに驚くかもしれません。

しかし、

直近5年の増配率(年率)は10%を超えています。

そして2006年から運用されていて、

リーマンショックという大きな下落も

経験してきました。

それでも、

増配を続ける会社を集め続けてきた。

そういう歴史を持つETFです。


注意点

リーマンショックを乗り越えたとはいっても

過去の最大下落率はマイナス46%台。

「下がらなかった」わけでは、ありません。

大きく沈んだ時期を持ちながら、

それでも配当を増やし続けてきた。

そういう記録です。


そして、

利回りの低さは、はっきりした弱点です。

「配当を受け取りたい」という目的なら、

期待していたものとは違うかもしれません。

私の中では、高配当ETFというより、

配当が育つ株の詰め合わせ

に近いものだと感じています。

■ HDV|派手さは無いが堅実に守りを固める高配当ETF

銘柄選定基準

他社が簡単に真似できない強みを持っているか。

そして、

財務が健全で、倒れにくいか。

その2つで絞り込んで、およそ75社

数を絞って、質を取る。

そういう選定をしています。


実績

その性格が、はっきり出た年があります。

2022年は米国の利上げで

株も債券も同時に下げた年でした。

多くの指数がマイナスで終わる中、

HDVは、

プラス7.05%で1年を終えています。

嵐の年に、

一人だけ立っていた。

そんな年でした。

まさに、鉄壁の盾と言える実績です。


注意点

ただ、

その実績には理由があります。

HDVは、

生活必需品やヘルスケアといった

不況に強い業種と

エネルギーの比率が高くなりやすい。

ハイテクは、ほとんど入っていません。

2022年は、

ハイテクが叩かれ、

原油が高騰した年でした。

つまり、

HDVの得意な形が、

たまたま、その年とかみ合った。

そういう面も、あると思っています。


裏を返せば、

原油が下がる局面や、

ハイテクが力強く伸びる相場では、

物足りなく感じるかもしれません。

直近10年の年率リターンは10.19%。

派手に跳ねる年はないけれど、

大きく崩れる年も少ない。

その安定感が、

HDVの持ち味だと思っています。

■ 少し色の違うもの|JEPQ・JEPI

ここまでの5つは、

「どの株を選ぶか」で

性格が変わるETFでした。

でも、

配当の作り方そのものが違うものも、あります。

JEPQやJEPIといった

カバードコール型と呼ばれるものです。


5つのETFが配っているのは、

会社が稼いだ利益から出る、

株の配当です。

一方でカバードコール型は、

将来の値上がり益を受け取る権利」を

あらかじめ売って、

その代金を現金に変えて配っています。

原資が、まったく違うのです。


だから、

利回りの数字だけを見て、

同じ棚に並べて比べてしまうと。

判断を、誤りやすいと思っています。

(仕組みについては、

 こちらの記事に詳しく書きました)

JEPQ・JEPIとは何か|カバードコールを初心者向けにわかりやすく解説

■ 日本から、買えるかどうか

ここまで紹介してきたETFは、

証券会社によっては、

本家のETFをそのまま買うこともできます。


ただ、その場合は、

外国株式の口座を用意したり、

円をドルに換えたり、

受け取った配当に、

アメリカと日本の両方で

税金がかかったり。

少し、手間がかかります。

知識が必要になる場面も、

出てきます。


その一方、最近では

各証券会社が、こうした高配当ETFに連動する

投資信託の取り扱いを少しずつ増やしています。

円のまま、少額から気楽に買えて、

積立の設定もできる。

もちろん、

まだ用意されていないものも、あります。


気になった商品があれば、

自分の使っている証券会社で

取り扱いがあるかどうか、

調べてみるのもいいと思います。


そして、

それに合わせて、

証券会社を増やすという選択も、

私はありだと思っています。


NISA口座は、

一つの証券会社にしか作れません。

年単位で変更する手続きはありますが、

気軽にというわけにはいきません


でも、

特定口座であれば、

複数の証券会社で持つことができます。

NISAの枠を使い切ったあとのことを考えると、

早めに見ておくのも、

悪くないのかもしれません。

■ まとめ

こうして並べてみると、

はっきりすることがあります。

どれが優れている、

という話ではないということです。

何かを取れば、何かを失う。

今の利回りを取れば、値動きの荒さを受け入れる。

未来の増配を取れば、目先の配当を譲る。

守りを固めれば、上昇相場では物足りない。

全てを都合よく手に入れられる商品は、

たぶん、どこにもありません。


だからこそ、選ぶ前に、

自分に問いかけてみてほしいのです。

今すぐに、高い配当が欲しいのか。

それとも、

将来、大きく育った配当を受け取りたいのか。


ハイテク株の脇に、

守りのクッションとして置きたいのか。

今の配当の、軸に置きたいのか。

それとも、

今の配当の底上げに使いたいのか。


そうやって、

いつ、どんな時に、何のために

高配当ETFを買いたいのか

それが、

自分の言葉で答えられれば。

選ぶものは、

自然と決まってくるのだと思います。


利回りの数字や、ネットのおすすめ

だけで選んでしまうと。

「思っていたのと違う」

そうなりやすい気がしています。


大事なのは、

利回りの高さでも、

順位でもなく。

自分が、何を求めているのかを、

自分の言葉で説明できること。

そこに尽きるのだと、私は思っています。


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